「大手だし、この数字なら悪くないかな…」そう思って、プロパティマネジメント会社の契約書にサインするところでした。その時提示された管理料率は8%。相場通りで、特に疑問も感じませんでした。
でも、一歩踏みとどまって、5社に直接ヒアリングして比較した結果、管理料率だけで5%から10%まで、実に2倍の開きがあることがわかったんです。
年間家賃収入500万円の物件なら、それだけで年間25万円の差。しかも、うたわれている華やかな「実績」の裏側には、見過ごせないカラクリがいくつもありました。
今回は、私が実際に5社を比較して学んだ、プロパティエージェント(管理会社)の「実績」を本当の意味でチェックする方法をお伝えします。営業トークに流されず、資産を守る管理会社を選ぶための、具体的な視点です。
「入居率99%」「家賃保証」の数字の裏を読む
管理会社の営業トークには、必ずと言っていいほど「魔法の言葉」が登場します。これらの数字を表面的に受け取るのは、実はとても危険です。
1「入居率99%超」のカラクリ
「当社の平均入居率は99%を超えています!」という謳い文句。でも、その数字の「母数」を確認しましたか?
私がヒアリングしたある会社は、確かに公式サイトで「入居率99%超」を掲げていました。しかし、詳細資料の注釈には、こう書かれていたんです。
「※自社開発・販売物件(築浅・人気駅)における実績」
あなたが任せたいのは、築20年の郊外のアパートではありませんか?築浅の新築マンションと築古のアパートでは、入居率維持の難易度が全く異なります。この「実績」は、あなたの物件には当てはまらない可能性が大です。
「入居率」実績のチェックポイント
- その数字は全管理物件の平均? それとも特定の優良物件だけの数字?
- あなたの物件と同様の立地・築年数・グレードの物件の実績を、別途聞き出せるか?
- 「空室期間の平均」は何ヶ月と公表しているか?(入居率だけでは、空室発生時の回転の速さがわからない)
2「家賃保証」は万能薬ではない
家賃保証制度は、大きな安心材料です。私も最初は「これさえあれば!」と思いました。しかし、契約書の細則を読んで、その認識を改めました。
ある会社の契約書には、次のような条件が記載されていました。
「家賃保証の適用は、オーナー様が当社指定のリフォーム工事を実施した物件に限ります。また、保証額は想定家賃の80%までとし、保証期間は最初の1年間のみとします。」
つまり、
・保証のためには、指定の(相場より高額な可能性もある)リフォームが必要。
・空室になっても満額は保証されない。
・1年後は保証がなくなる。
完全なリスクフリーではないことを理解しておくことが不可欠です。
「家賃保証」のチェックポイント
- 保証内容は「全額保証」?「一部保証」?
- 保証には前提条件(リフォーム義務など)があるか?
- 保証期間は?更新は可能か?
- 保証が切れた後の空室リスクについて、会社はどう説明するか?
比較して初めて見える「本当の実力」
一社だけと話して「まあこんなものか」で決めていたら、絶対に気づけなかった違いがあります。私が5社を比較して最も衝撃を受けたのは、「報告の頻度と中身」の圧倒的な差でした。
A社とB社の「報告」比較
- A社:毎月、家賃入金の報告メールのみ。詳細な家賃明細書は四半期に一度。
- B社:毎月、家賃明細書に加え、物件の写真や近隣の空室相場、小さなトラブルの報告までPDFで送付。専用ポータルサイトでいつでも確認可能。
管理料率はA社の方が若干安かったのですが、B社の丁寧な報告を見ていると、「この会社は物件をちゃんと『見て』管理してくれている」という信頼感が湧きました。大家としての「不安」が、報告の質で軽減されることを実感したのです。
実践!管理会社を「泥臭く」比較する4ステップ
面倒でも、この一手間があなたの資産を10年、20年守ります。私が実行した具体的なステップをそのままお伝えします。
1情報収集(3〜5社が目安)
「プロパティマネジメント」「賃貸管理 実績」などで検索し、候補をリストアップ。ここで大事なのは、大手だけに絞らないことです。地元密着の中小会社は、細やかな対応が強みだったりします。
2ヒアリング&提案依頼
リストアップした会社に、一斉に連絡します。物件情報を伝え、「管理提案書」の作成を依頼。この時、「他社とも比較検討中です」と伝えるのがコツ。営業も本気の提案をしてきやすくなります。
3提案書の「比較表」を作成
届いた提案書を、Excelやノートに同じ項目で並べて比較します。
- 管理料率、更新料、募集広告費
- 修繕積立金の扱い
- 報告方法、緊急時対応体制
そして、先ほどお伝えした「数字の裏」を確認する質問をぶつけます。「この入居率の数字は、うちのような築XX年の物件でも達成可能ですか?」と。
4「担当者」も重要な比較対象
これが、意外と最終的な決め手になりました。提案書は会社の「看板」ですが、日常的にやり取りするのは「担当者」です。
「この人なら任せられる」という直感は、長期付き合いを考える上で非常に重要です。
まとめ:管理会社選びは、売却査定と同じくらい「比較」が命
家を売る時、一社の査定額を盲信すると数百万円の損をする可能性があります。管理会社選びも全く同じです。一社の営業トークで決めてしまうと、年間数十万円の管理コストの損をし続け、物件の資産価値が下がるリスクすらあるのです。
良い管理会社は、空室リスクを減らし、適切な修繕で物件寿命を延ばし、結果として売却時の査定額も上げてくれます。
私が相続したアパートは、結局、管理料率は中くらいだが、報告が非常に丁寧で担当者の人柄を信頼できた、中規模の会社に決めました。数字だけの比較では一番安い会社ではありませんでしたが、「安心」という付加価値を買ったと思っています。
最初に連絡した会社で決めないで
これが、大家さんとして後悔をしないための、私からの一番のアドバイスです。面倒に感じるかもしれませんが、この比較作業こそが、あなたの資産を長期にわたって守る礎になります。
「でも、いちいち数社に連絡するのは…」と感じる方は、信頼できる不動産管理会社の比較サービスを探してみるのも一つの方法です。まずは、複数社の提案を並べてみることから始めてみませんか?
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